浦野家の歴史と系譜

清和源氏満政流・浦野氏

　清和源氏満政流とは、清和天皇からの派生氏族で、源満仲の弟、満政に始まる系統を指します。清和源氏満政流の氏族は、美濃国八島郷を本拠として、その後周辺に勢力を広げ、美濃源氏（八島氏族）として栄えます。さらに飛騨、尾張、近江、三河などにも大いに蕃殖し、尾張国春日井郡浦野邑からの重遠後裔の大族は尾張源氏（浦野氏族）と呼ばれます。
　清和源氏満政流の浦野氏は尾張国を発祥するため、一概には言えませんが、中部・東海地方に分布している浦野氏にこの流れを汲むものが多いと考えられます（浦野姓の分布の項参照）。

■尾張国発祥清和源氏満政流浦野氏

　姓氏家系辞書（尊卑分脈）によると、浦野重遠の父・佐渡重實は鳥羽院武者所の四天王の一人と言われ、保元の乱では後白河帝陣営に参加しました。しかし、その後、源義朝陣営に加わった平治の乱で敗れてしまい、美濃国子康森において落武者狩りに遭って自刃したと云われています。これにより、重遠が美濃国から尾張国春日井郡浦野邑に遷されたことに始まります。
　この浦野氏と滋野氏流・浦野氏とは互いに異なる流れを持つものとする考え方が一般的ですが、厳密には諸説あり、滋野浦野氏を藤原支流に収める説（寛政系譜）や、清和源氏満政流の浦野氏の後に滋野浦野氏が続くという説（寛政家譜）などもあります。「尊卑分脈」によると、六孫王経基の七世孫の重遠が浦野に住み始めて、この氏を称したされていて、同じく「武家系図」にも「浦野、清和、本国尾州浦野、信濃守重遠、称之」とあって、「尊卑分脈」の系譜を裏付けています。

■浦野氏の出自
　日本家系家紋研究所発行の「浦野一族」には、これを「尾張国源姓浦野氏」として、以下のように述べています。

1.		尾張国春日井郡浦野邑に起こる氏。その先は清和源氏で、尾張国一円に栄えていた。
2.		先祖清和源氏とは、第５６代天皇清和帝の孫で、源氏姓を賜って臣籍に降下したものの総称。
3.		六孫王経基の嫡子を源満仲という。満仲の弟・満政の子孫は尾張に栄えたので、この一党を尾張源氏という。尾張の浦野氏もこの一流で、満政の五世孫・重遠に出自。「浦野と号す。浦野四郎　生国美濃国、住国は尾張国浦野なり。」（尊卑分脈）。
4.		「浦野、清和、本国尾州浦野、信濃守重遠、これを称す。」（中興武家諸系図）
5.		系図を見ると、浦野四郎重遠の子、浦野太郎重直のとき、尾張国山田郡山田荘にちなんで山田先生と号し、以下の子孫は多く山田を称した。
6.		この族と称す浦野氏は、信濃国で系を伝えた。近世幕臣となった浦野氏が家を伝承した。
7.		重遠は信濃国浦野荘に住んだので、家号とする。
8.		重遠四代孫・泉太郎重義、その子泉太郎重教より十代連綿と重政につく。

＜参考文献＞

浦野一族　（日本家系協会）
姓氏家系大辞典　（角川出版）
姓氏家系歴史伝説大事典　（勉誠出版）
新編姓氏家系辞書　（秋田書店）
浦野一族の系譜　（日本系譜出版会）

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