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狼煙村の地理と歴史
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または、「日本書紀」や「石川県地理詳説」には、王政の昔、海上警備のために、烽火(狼煙)を設けたことに由来するとあって、「珠洲市史」も古代の烽説をとっています。元和元年(1622)2月の前田利常申付状(能登国古文書)には、「ぬるし村」とあります。 尚、右の写真で、「能登半島最北端」の墨書は、狼煙村在住の小坂正彦様によるものです。 ■狼煙の歴史 狼煙という地名そのものは、江戸時代から変わっていないのですが、管掌する町村は何度か変わりながら、現在に至っています。
狼煙村は、江戸時代には加賀藩領でした。承応3年の村高は359石余。寛文10年村御印の村高は432石、免5ツ、山役211匆・苦竹役20匆・猟船役20匆・澗役452.8匆。元和8年には、村内の門田といわれる地に、「狼煙新村」が設置されました。垣内には、横山という地域があります。鎮守は、鈴ヶ岳五社大明神で、現在の山伏山頂上の須須神社奥宮がそれにあたります。俗に、「狼煙・横山娑婆での地獄、寺もなけりゃ御坊もない」とも言われたらしいのですが、狼煙にもかつては寺院があったそうです。集落の北側の丘陵に「寺屋敷」、「堂ヶ谷内」、「堂の上」などの地名が残っていて、これは石川県珠洲郡誌によると、長福寺跡であるとされています。上記のように明治5年に石川県に所属し、珠洲市十年誌によると、同6年の村高は506石余、戸数は147でした。藩政期から製塩が盛んで、明治3年の塩釜数は28、同4年の製塩高は6376俵、製塩業に従事する戸数は17戸、同19年の製塩高は7481俵と珠洲市史には記されています。明治8年には狼煙小学校が創立しました。明治16年には、禄剛崎に灯台が設置されました。 中世名主の系譜を引くとみられる七兵衛家(宇多家)は、先祖の河崎氏が代々畠山氏の家臣で、天正期(1573−1592)に畠山義則の孫娘が流浪してきたのを娶って、その引出物に唐の鏡を与えられたと伝えられています。江戸時代には、河崎七郎左衛門とも名乗り、十村・間役人・肝煎などの諸役を勤めました。その宇多家文書によると、近世初頭に妙法寺が退転して、堂の前という有力百姓も慶長17年(1612)に逐電したことにより、それらを請けて大山林地主になったということです。承応2年(1653)に、組下村数17村の十村に任命されてます。田肥に充てる干鰯も狼煙浦で水揚げしていて、天明5年(1785)年には、余分の干鰯153俵を正院村に銭45貫900文で売ったそうです。 しかし、この狼煙浦の沖は難所で、宝暦6年(1756)年に寺家村の七郎左衛門は、金剛崎に焚火常灯の建造を要望したのですが、逢崎(遭崎)に建てられたそうです。これとは別に、山伏山の中腹には、3月〜9月まで点灯する常灯が設けられて、どちらも海難の多い狼煙浦の案内火となりました。能登名跡誌によると、山伏山の火は、一夜に油1升・灯心布3尺を消費したということで、これらの施設は、佐渡との船往来が頻繁だったことを物語っていると言えます。天保14年(1843)には、海防用の遠見番所(海岸沖の見張り所)の設計が金剛崎を対象に行われて、弘化2年(1845)には、鳳至郡中居村で製造された大筒の狼煙村への設置が命じられたそうです。遠見番所は山伏山に置かれたらしいのですが、大筒設置が実施されたかどうかは不明です。 鎮守の丹生神社は、文化期(1804−1818)まで禄剛崎北端の丹生ぐりという岩上に祭られていて、航海の守護神として仰がれていたそうです。山伏山山頂にある鎮守の須須神社奥宮の一帯は、山伏山社叢として、昭和40年(1965)に県指定天然記念物となりました。 ■狼煙浦の難船
■山伏山の遠見番所
弘化3年(1846)2月には、遠見番所の位置が決定し、金剛崎では山伏山の灯明堂を使用することが定められました。また、番人は初め1ヶ所に2人ずつ、給料は各々銀300目の予定だったそうです。しかし、算用場の指図によって、勤務は航海可能な時期である3月〜9月の間、1人ずつ昼夜交代として、給料は福浦の昼夜詰と輪島崎・三崎(山伏山)の昼詰でで各々200目、輪島崎の夜詰は100目、山伏山の夜詰については灯明金からまかなうことに決まっていて、できるだけ諸費用を削減したいという藩の意向がうかがえます。当時、藩は慢性的な財政難の状態にありましたが、このような海防に関する出費が増大して、ますます藩の経済を圧迫するようになりました。 <参考文献>
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